その人らしく穏やかに。
尊厳を大切にして、「医」は、文字通り医療のことです。
当院には、慢性期のご病状で長期的な療養を
必要とされる患者さまが入院されています。
また、脳梗塞後の患者さまや指定難病(神経難病)の方、
経管栄養や酸素吸入などを必要とされる方、
骨折や圧迫骨折後で療養されている方も入院されています。
当院では、そのような方々に
その人らしくあり続けていただくための
医療サービスをご提供します。
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ほんの数時間でできてしまうことも。
一般的には「床ずれ」ともいわれる褥瘡は、体重で圧迫されている部分の血流が悪くなったり滞ったりすることで、皮膚の一部が赤味を帯びたり、ただれたり、傷ができてしまったりすることです。ほんの数時間でできてしまいますが、一度できたら治るまでに数カ月、長い場合は数年かかってしまうケースもあります。特に、高齢者の場合は日数がかかります。それゆえ、予防が大切です。
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身体の向きをこまめに変えて。
当院では、患者さまが褥瘡にならないよう、看護師や介護スタッフは日頃から患者さまの身体の向きをこまめに変えて、一か所に圧がかかったり、その部位が擦れたりしないようにしています。リハビリテーション室のセラピストは、病室まで出向いて、患者さまのベッドサイドでリハビリをお手伝いしています。
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栄養面でのケアも大切。
また、褥瘡の予防やケアには、栄養面での配慮も欠かせません。患者さまご自身の力で、皮膚や皮下組織、筋肉を再生していただく必要があるからです。そのため、給食室では、患者さまの血液検査の結果を見て、不足している栄養分が補えるよう栄養剤や栄養補助食品をお届けしています。
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チームで防ぐ、チームで治す。
このように、看護・介護のスタッフはもちろん、リハビリテーション室や給食室のスタッフも褥瘡の予防やケアに深く関わっています。当院では、それぞれの専門職が情報を共有し、互いに積極的に連携しながら、患者さまの療養生活に有意義な「医」をご提供しています。
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日常生活動作を確認できる機会。
入浴は、皮膚の状態を観察する上でもとても大事な機会といえます。また、当院では、身体機能の衰えを防ぐ意味で患者さまがご自身でできることはご自身でしていただいているので、入浴は患者さまのADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の状態を確認する機会にもなっています。
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血圧の変化や脱水に注意して。
入浴の効果としては、新陳代謝の促進や血行促進、腸の活性化などが挙げられます。また、拘縮した手足をゆるめて、動きやすくする効果もあります。ただ、入浴は高齢者には身体に負担がかかるものです。そのため、ご入浴いただく際には血圧や体温に変化がないか、また、ふらつきをはじめ日頃と違った点がないかなど、体調のちょっとした変化も見逃さないよう気を配っています。入浴の前後の水分補給も欠かせません。入浴中も、患者さまが脱水状態になっていないかには、常に注意が必要です。
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患者さまの状態に合わせた入浴を。
当院では、つかまり立ちができ座位の保持が可能な患者さまには車椅子に乗った状態で入浴できる機械浴を、離床が難しい患者さまにはストレッチャーで横になったまま入浴できる機械浴を行っています。
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大浴場での入浴、車椅子浴も可能です。
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肌にやさしい微小な泡で。
ストレッチャーで入浴される患者さまには、ウルトラファインバブルのお湯に浸かっていただいています。このウルトラファインバブルは、直径がわずか1/1000mm未満の泡です。肉眼では見えないほど小さく、お湯の中に長時間残っていて、バブルの表面がマイナスの電荷を帯びているので、汚れを吸着して引き離してくれます。ごしごしと擦って洗う必要がないので、皮膚への負担が少なく、ご高齢の方のデリケートな肌にダメージを与えません。
ウルトラファインバブル入浴の主な特徴と効果
●バブルの表面がマイナスの電荷を帯びており、汚れを吸着して引き離します。
●小さな隙間にも入るので、手では洗いにくいところもきれいになります。
●熱の伝わり方が緩やかなので、体はゆっくり温まります。
●ごしごしと擦って洗う必要がなく、敏感な肌にもダメージを与えません。
●洗いにくい箇所も綺麗になり、体位変更が不要です(リスクが軽減します)。 -
入浴後のお肌のケアは保湿剤や乳液で。
高齢になると肌は皮脂の分泌が減るので、乾燥しやすくなります。そのため、当院ではご入浴後にはプロペトやウレパール、グリセリンを院内の薬局で調合した保湿剤をお塗りしています。化粧水や乳液によるスキンケアも行っています。
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食前には、トイレへ。
当院では、食前にトイレに行っていただいています。体調の変化に気づけるうえ、トイレのための食事の中断をなくして、食べる意欲の低下を防ぐというメリットがあるからです。
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目線の高さを合わせて。
食事中は、開口や嚥下の状態、食の進み具合から体調をうかがい知ることができ、食後の口腔ケアの際は口元や口の中を見ることができるので、歯肉炎や口内炎、歯の欠けや抜けなど、口の中の変化にも気づくことができます。
スタッフは目線の高さを合わせて食事介助をします。同じ高さなら患者さまの飲み込み具合が非常によくわかるからです。また、健側(けんそく)から介助することで、麻痺側に残渣(ざんさ)を確認することができます。 -
むせることが多くなれば。
食事の際にむせることが多くなれば、ご提供する食事の形態を変更したり、 飲み物にトロミをつけたりもします。 トロミの濃さもそれぞれの患者さまの嚥下状態に合わせて対応します。
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口からではなく、経管での栄養摂取も。
食事量の少ない患者さまには、ドリンクやゼリーで栄養を摂取していただいています。口からではなく経管で栄養摂取をしていただいている患者さまにおいては、それが食事と同じ意味をもつもの。当院では、そう考えて、ご用意をしています。